【Vol.10】姿勢と呼吸の深い関係|「横隔膜」がサボると、体はどうなる?

身体と対話する整体コラム 【Vol.10】

「姿勢が悪いと、肩こりや腰痛になりやすい」 これは多くの方がイメージできると思います。

しかし実は、「姿勢」と「呼吸」はセットだということをご存知でしょうか? 姿勢が崩れると呼吸が浅くなり、呼吸が浅くなるとさらに姿勢が崩れていく……という、悪循環に陥ってしまうのです。

当院では、肩こりや腰痛の原因を探るとき、必ず呼吸の状態を確認します。 今回は、なぜ姿勢と呼吸がつながっているのか、そして鍵を握る「横隔膜(おうかくまく)」について、わかりやすく解説します。


そもそも「横隔膜」ってなに?

横隔膜は、胸とお腹の境目にある「呼吸のための大きな筋肉」です。 息を吸ったり吐いたりするときに、この横隔膜がポンプのように上下に動くことで、私たちは深い呼吸ができます。

ただ、横隔膜の仕事は呼吸だけではありません。実は、次のような大役も引き受けています。

  • 体幹を支えて、姿勢を安定させる
  • お腹の内臓を正しい位置にキープする
  • 自律神経のバランスを整える

つまり横隔膜は、「体全体のバランスを保つ中心の柱」なのです。

猫背や反り腰になると、横隔膜が「引きこもり」になる?

横隔膜は、肋骨(あばら骨)の内側にペタッとくっついています。そのため、肋骨が自由に動かないと、横隔膜も動けなくなってしまいます。

① 猫背の人の場合

背中が丸まって胸がギューッと潰れると、あばら骨がカチコチに固まって広が think らなくなります。その結果、横隔膜の動きも小さくなり、呼吸がどんどん浅くなってしまいます。

② 反り腰の人の場合

逆に、腰を反らせてお腹を前に突き出している人は、あばら骨がペロッと前に開いたまま固まっています。これでも横隔膜はうまく上下に動けず、胸だけでゼーゼーと浅い呼吸になってしまうのです。


横隔膜がサボると、「首と肩」が犠牲になる

横隔膜が動かなくなると、体は生きていくために、別の筋肉を使って無理やり呼吸をしようとします。 そのときに犠牲になるのが、「首」や「肩」の筋肉です。

本来は使わなくていい首や肩を、1日何万回も行う「呼吸」のたびに酷使するわけですから、当然ガチガチに凝ってしまいます。

「マッサージをしても、その場しのぎでまた肩が凝る」 という方は、この「首・肩でする浅い呼吸」が原因のケースが非常に多いです。


呼吸が浅いと、体は「24時間戦うモード」に

横隔膜が動かず呼吸が浅くなると、自律神経の「交感神経(アクセル役)」が働きっぱなしになります。 すると、体は常に緊張状態になり、次のような不調が出やすくなります。

  • いつも体に力が入っていて、リラックスできない
  • ベッドに入っても眠りが浅い
  • 胃腸の調子がすっきりしない
  • 疲れが取れず、なんとなく不安になりやすい

呼吸を整えることは、姿勢だけでなく、心と体の緊張をほどくためにも絶対に欠かせません。

【3秒チェック】あなたの横隔膜は動いてる?

ここで、自分の呼吸の状態を簡単にチェックしてみましょう。

  • 【チェック①】息をハーッと吐いたとき、あばら骨が内側にシュッと閉じますか? (開いたまま動かない人は、呼吸が浅くなっています)
  • 【チェック②】深呼吸をするとき、肩がすくむように上に上がりますか? (肩が上がる人は、横隔膜ではなく首や肩で息をしています)
  • 【チェック③】息を吐いたとき、フワーッと体の力が抜ける感覚がありますか? (緊張が抜けない人は、体が休まるモードに入れていません)

必要なのは「無理に姿勢を正すこと」ではありません

呼吸が浅い人ほど、「良い姿勢をしなきゃ!」と背筋をピンと伸ばそうとします。 しかし、あばら骨や胸が固まったまま無理に姿勢を正そうとすると、かえって腰や肩にギックリと力が入って逆効果になります。

大切なのは、無理に形を作るのではなく、「呼吸が自然と深くなる、動ける体」を取り戻すことです。

当院では、姿勢の見た目を無理やり矯正するのではなく、まずは横隔膜がのびのびと動けるように体を整えます。その結果、「気がついたら、自然と楽に良い姿勢になっていた」という状態を目指しています。

「いくら揉んでも肩こりが治らない」「なんだか息苦しい、疲れが取れない」という方は、ぜひ一度、ご自身の「呼吸」に目を向けてみてくださいね。



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