身体と対話する整体 Vol.23
股関節というと、「脚を動かすための関節」というイメージを持たれる方が多いかもしれません。
もちろんそれも大切な役割ですが、股関節には「姿勢を支える」という、もう一つの重要な働きがあります。
今回は、股関節の可動性と腰痛の関係、そしてご自宅でできるセルフチェックとケア方法をご紹介します。
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股関節は身体を支える土台
股関節は太ももの付け根にあり、骨盤側の受け皿(寛骨臼)に大腿骨の丸い骨頭がはまり込む「球関節」という構造になっています。
この構造のおかげで、前後・左右・回旋(ひねり)など、さまざまな方向へ自由自在に脚を動かすことができます。
歩く、走る、立ち上がるといった日常動作では、上半身の体重を支えながらバランスを保つ重要な役割を担っています。人が二足歩行を獲得し、両手を自由に使えるようになった背景には、この股関節の発達が大きく関係しているともいわれています。
股関節は「姿勢」もコントロールしている
股関節には、立っているだけでも体重の約2〜3倍、歩行時には約3〜4倍、走ると約4〜5倍もの負荷がかかります。
その大きな負荷を受け止めながら、体幹の筋肉と協力して骨盤を安定させ、姿勢を保っています。つまり股関節は、猫背や反り腰を防ぐための「土台」ともいえる存在なのです。
ところが、股関節まわりの筋肉が硬くなると、骨盤のスムーズな動きが制限されます。
すると、本来股関節が担うはずの動きを腰が代わりに行うようになり(過剰運動)、腰の筋肉や関節への負担が増えて腰痛につながりやすくなるのです。
あなたの股関節は大丈夫?簡単セルフチェック
ストレッチを始める前に、まずは現在の股関節の柔軟性をチェックしてみましょう。

1. あぐらチェック(内もも・関節の開き)
床にあぐらで座ったとき、両膝が床から大きく浮いていませんか?
目安:膝と床の間に拳が2個以上入る場合は、股関節の内転筋群や関節まわりが硬くなっている可能性があります。
2. 片脚抱え込みチェック(曲げる動き・お尻の柔軟性)
仰向けになり、片方の膝を両手で胸に引き寄せてみましょう。
目安:太ももが胸に届かない、あるいは反対側の脚や腰が浮いて曲がってしまう場合は、股関節の柔軟性が低下しています。
股関節をゆるめる準備:「足首回し」
股関節のストレッチを行う前に、まずおすすめしたいのが足首の運動です。土台の末端である足首をほぐすことで、下半身全体の連動性が高まります。

【やり方】
1. 床に長座(脚を伸ばした状態)で座り、踵を腰幅程度に開きます。
2. つま先を前後に20〜30回動かします。つま先を手前に引くときは、かかとを押し出すようなイメージでふくらはぎや膝裏が伸びるのを感じながら行うのがポイントです。
3. 続いて、つま先を大きく内回し・外回しに回して足首を緩めます。このときは、つま先で大きな円を描くように行なってみてください。それぞれ10〜20回くらい行います。
足首を動かすことでふくらはぎの筋肉がしっかり働き、下半身全体の血流が促されます。身体が温まった状態でストレッチを行うことで、筋肉がほぐれやすくなり、ケガの予防にもつながります。
次の股関節のストレッチを行う前に【Vol.16】ストレッチは「伸ばす」より「感じる」|効果が出るやり方 を是非ご参照ください。
お尻と股関節の外側をゆるめる「抱え込みストレッチ」
お尻の奥にある中殿筋や深層外旋六筋をゆるめ、骨盤まわりの緊張を和らげます。

【やり方】
1. 仰向けに寝ます。
2. 片方の膝を両手で抱えます。
3. 抱えた膝を、反対側の胸(肩)の方向へゆっくり引き寄せます。
4. お尻の横から奥にかけて心地よく伸びるところで20〜30秒キープします。
5. 左右交互に行いましょう。
少し慣れてきたら抱えている膝の角度を少しだけ変えて、気持ちいところを探してみてください。
股関節全体をほぐす「パタパタ運動(蝶のポーズ)」
内ももの筋肉をゆるめながら、股関節本来の柔軟性を引き出すストレッチです。

【やり方】
1. 床に座り、両足の裏を合わせます。
2. 足首またはつま先を軽く持ちます。
3. 膝を上下に15〜20回ほど小刻みに動かします(パタパタと羽ばたかせるイメージ)。
4. 動きを止めたら、背筋を伸ばしたまま股関節(折り目)から身体を前に倒します。
5. 呼吸を止めずに15〜20秒キープします。
まとめ:身体との対話を楽しみながら
腰痛というと腰そのものに原因があると思われがちですが、実際には股関節の動きが制限されていることで、腰に負担が集中しているケースが少なくありません。
股関節は身体を支える土台であり、姿勢を安定させる大切な関節です。
まずは足首を動かして準備を整え、その後に股関節を優しくほぐす習慣をつくってみてください。
毎日の小さな積み重ねが腰への負担を減らし、しなやかに動く身体づくりにつながっていきます。
ストレッチを行うときは「どこまで伸ばせるか」という結果ではなく、「身体が気持ちよくゆるむ感覚」をぜひ大切にしてみてください。身体は、その心地よさを通して今の自分の状態をそっと教えてくれます。
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